小諸市にあるハローアニマルで「よみきかせ犬」体験

信濃毎日新聞の記事が目にとまりました。
「付き添う犬と読書しよう 小諸で4日、小学生向け「よみきかせ犬」体験」

子どもが犬に読み聞かせをして自己肯定感などを高める「リードプログラム」に取り組んでいる小諸市の県動物愛護センター「ハローアニマル」は4日、小学生向けの体験イベントを同センターで初開催する。
(中略)
米国発祥の同プログラムは、国内では都内の図書館が採用。付き添う犬は読書介助犬で、同センターでは「よみきかせ犬」と呼ぶ。

失礼ながらこの記事ではなんのためなのか、どんな効果が期待できるのかが分かりませんのでもう少し調べて見ました。

「ワンちゃんが子どもの読書を手助けする!「R.E.A.D.プログラム」ってご存知ですか?」

子どもたちが犬(読書介助犬)に本の読み聞かせをするという活動は、「R.E.A.D.プログラム」と呼ばれ、アメリカ・ユタ州のある図書館から始まりました。R.E.A.D.プログラムの「R.E.A.D.」とは、“Reading Education Assistance Dogs”の略で、翻訳すると“読書介助犬”といった意味合いになります。
「R.E.A.D.プログラム」は読書の魅力やコミュニケーション技術を培うために1999年に始まったプログラムですが、目的は子どもたちの学習のためだけではなく、人前で文章を読むことが苦手な子の苦手意識を克服し、自己肯定力を養うことにあります。

でもなぜワンコなんでしょうか?

人前で本を読むことが苦手な子のなかには、「上手に読まなきゃ」「間違っちゃだめ」と自分自身にプレッシャーをかけているケースも少なくありません。
わたしも子どものころ、人前で音読することが得意ではありませんでした。「上手に読めなかったら笑われてしまうのではないか」という不安を常に抱えていたような気がします。
しかし犬は、子どもが本を上手に読めなくても、批判したり笑ったりすることは決してありません。子どもたちが読書介助犬の前で朗読を繰り返すと、以前より楽しく、自信をもって本が読めるようになるそうです。

なるほど、うちのワンコも話しかけると目をあわせたり、時には首を傾げたりして聞いて理解しようとする姿勢は感じさせます。
お子さんや、お孫さんで人前で本を読んだり発言することが苦手だったら、自宅で実践できそうですね。

長野県が動物との触れ合いで子どもたちを支援する事業

長野県では、長野県動物愛護センター・ハローアニマル(小諸市)の動物との触れ合いを通じて、不登校や引きこもりなど困難を抱えた子たちを支援する事業「ハローアニマル子どもサポート」を今年度から全県に拡大したそうです。

「動物と触れ合い克服を 不登校など子ども支援」(http://www.nagano-np.co.jp/articles/32826)

困難を抱えた子は、人に対する緊張が強かったり、集団への不安を感じる傾向が強かったりするとされるが、同センターと心療内科医の共同調査によると、動物介在の一連のプログラムにより心理状態が安定、改善することが分かった。「動物に合いたい」と外出のきっかけにもなり、自分を受け入れてくれる動物から自己肯定感を高めていく子たちもいる。

動物との触れ合いとコミュニケーションが、人間のそしてペットにも良い効果があるということはここでも何度もご紹介してます。
ペットを飼っていなくても、こういう施策によって触れ合う場が設けられるということは良いことではないでしょうか。

長野県のホームページは下記を参照ください。
「県内4か所で「おでかけハローアニマル子どもサポート」を毎月実施します」(https://www.pref.nagano.lg.jp/shokusei/happyou/happyou-doubutu/300425.html)
スケジュールや場所も掲載されています。
小諸市にあるハローアニマルではもちろんのこと、須坂市、安曇野市、伊那市で毎月開かれます。
医師による個別相談も受けられるようです。
具体的な成果は公表されてませんが、活動が拡大されるということは、なんらかの効果とこれまで受けた方々の評価があってのことだと思います。
悩んでいる方は参加してみてはいかがでしょうか。

子供は兄弟姉妹よりもペットとの付き合いに充足感を得る傾向にあるそうです

英ケンブリッジ大学家族研究センターの研究チームは、ペットの栄養について研究するウォルサム研究所、経済学・社会科学の助成機関である経済・社会研究会議(ESRC)との研究結果によると、兄弟姉妹がいてペットを飼っている12才の子供は兄弟姉妹よりもペットに充足感を感じているということのようです。
また、ペットの中でも犬への充足感が高いという結果です。

「きょうだいよりもペットが大好き!子どもとペットとの強いつながりが明らかに」

兄弟といえどもやはり人間同士。ましてや子供なので、エゴのぶつかり合いで喧嘩になるのは当然で、それにひきかえペットは従順に従い、あるときは心を癒してくれる存在ですから、想像できる結果とも言えるでしょう。

男児と女児との違いもあるようで興味深いです。

「女児のほうが、男児に比べて、ペットとの絆が強いが、衝突も多いことが示された。女児のほうが、ペットとより親密に関わるためではないかとみられている。」

血縁関係にある兄弟姉妹よりもペットとの関係に満足しているということは、人間同士の関係に慣れて行かないのではと心配もしてしまいますが、そうでもないそうです。

「シンポジウム「子どもとペットとの大切な関係」-動物・自然が及ぼす子どもの「心の発達」への影響-」という2002年に開催されたシンポジウムもペットは子供の情操教育に役立つということが語られています。

「動物と子どものストレスについて話を移していきたいと思います。ストレスを受けている人間はだれかがそばにいてくれると感じることによって孤独感が減少します。グループの一員であるという安心感、自分は愛されている、評価されている、と感じることで心が和らぎ、ストレスが軽減されていくわけです。」(アメリカ・パデュー大学ゲイル・メルソン教授)

「子どもは世話を行うなかで、動物の様子から何が好きか理解したり、してあげられることは何かを学んだり…数多くの学びを得ることができます。対象を知ると愛情を感じ、愛情を感じると、その対象をもっと知りたくなります。」(並木美砂子氏、千葉市動物公園協会・フェリス女学院大学非常勤講師)

ペットは言葉をしゃべれないし人間の指示を完全に理解することができない存在だから、思いやることができるようになり、それは大人へと成長して行く過程で役に立つはずです。

「教室でトラブルが起きた場合、犬が介在するときの方が子どもたちは落ち着いていて、おおごとにはならない」(麻布大学獣医学部太田光明教授)

兄弟喧嘩が起こった時、ペットは戸惑い悲しくなり、それを子供は感じるから喧嘩をやめるということにもつながりますよね。

最初に取り上げた研究結果は、何か兄弟姉妹よりもペットを“選ぶ”かのように一瞬見えますが、実はペットとの関係は兄弟姉妹との関係にも結果的にはよい効果がもたらさせるということに違いは無いはずです。